治水という名目で川をいじりまわし、生態系を破壊しまくるなど、人類ほど傲慢な生物はない。

F沈下橋

午後2時 大正町着

快適そうであれば1泊するつもりで、「リバーパーク轟」というキャンプ場を訪れた。
キャンプ場は、橋を渡った対岸にあるのだが、アプローチの道路が狭く、車のすれ違いはできないので、少し躊躇したが、対向車がこない方に賭けて、進入していった。
ほどなくキャンプ場に着くという地点の道路上に、蛇が横たわっているのを発見してギョッ!となった。

僕は巳年生まれなのに蛇は苦手である。
白と黄緑色の模様が鮮明な、なんという種類か知らない蛇は、死んでいるようであったがふんづけないようにして急いで走り抜けた。
子供の頃は、住んでいたのが田舎だったから、しばしば蛇に出くわしたものだった。
真っ先に思い出すのは、幅2m弱の田んぼ道を自転車で走っている時、出くわしたやつである。
そいつは、道を横断しようとしている青大将だったが、自転車ですり抜ける余地がないほど巨大で、完全にとうせん棒状態であった。
蛇が渡りきるのを、緊張しながら見つめていたのを思い出す。
他にも、学校から家に帰ってみると、飼い猫が座敷で蛇とじゃれていた事件も思い出しているが、今は書かない。

キャンプ場に着いた。
中央に、管理棟と集会場を兼ねたような、こぎれいな建物があり、その周辺に、うまいぐあいに木立をあしらった10ほどのキャンプサイトがある。
客は一組もないようだ。
リバーサイドで環境抜群、日当たり良好の物件なので料金しだいでは泊まろうと、管理棟に行ってみたが人の気配がない。
裏口をたたいてみたり、
「スイマセン!」とか呼んでみたりしたが、返事は無かった。
そのうち誰かあらわれるかもしれないので、川のそばに車を止めて、遅い昼飯をとることにした。

肉ジャガを煮ている間に川におりてみた。
水が澄んでいて川底がよく見える。
小さいハヤがたくさんいる。
豊富な水が「ほかでもない、四万十川だかんな!」とでも言うように、自信に満ちて流れている。
食事が済んで、大きな平らな岩に寝そべってタバコを吸った。
いくら待っても人が来そうにないので去ることにした。
帰り道、さっきの蛇をみて、もう一度ギョッ!としてしまった。

川を左に見ながら10キロほど下ると、
四万十川本流で最大といわれる川中州があり、三島というキャンプ場がある。
雑誌「るるぶ」の高知版によれば、無人島気分で自然が満喫できるとあるので、要チェックである。
沈下橋を渡ってキャンプ場に向かう。
沈下橋とは、「ちんかばし」と読み、大雨などで川が増水したときは、水没してしまう橋のことである。
流れに洗われたとき、水の抵抗を極力小さくするように、また流木などが掛からないように、橋なのに欄干がついていない。
だから車で渡るときは、脱輪しないように、とてもまじめになる。
四万十川にはたくさんの沈下橋があるが、三島の沈下橋も有名な橋のひとつである。

考えてみるに、沈下橋があるということが、四万十川がきれいだということの証拠になっているのではないか。
立派な橋を建設できるほど人口が多くないので、生活雑排水による川の汚れが少ないとするのは安易である。
それより、大雨が降れば橋が沈むほど増水する川とのかかわり方に注目すべきなのだ。 
人々は川の神の機嫌を損ねることのないように暮らしている。 
護岸という自然破壊はなく、人が水際ギリギリまで攻め込んだりすることもなく、だから水をコントロールしようとして建設される、(しばしば、役人と建設業者を潤わすために、やみくもに建設される)ダムや堰などもない。 
当然、河原が自然に保たれ、川がのびのびと生きているのだ。

明るい菜の花畑をいくとキャンプ場があった。
こぎれいなロッジが点在し、広々としたキャンプサイトは申し分ない。 だが、ここも無人であった。
管理棟の外に電話があり、これを使えばなんとかなりそうだったが、面倒なのでそれをせず、381号線に戻った。

夕方に西土佐村に着いた。西土佐村には温泉保養施設(ヘルスセンター)とか「星羅四万十」というリゾートホテルや「四万十ふれあいの家」(別名カヌー館)などの施設があり、旅の一つの拠点となっている。
暗くなってウロウロするのもいやだし、ここに泊まって、明日はカヌーに挑戦という線もあるので、ふれあいの家がやっているキャンプ場に決定した。


四万十の左岸にあるカヌー館の下がキャンプ場になっているのだが、これはちょっとした公園の雰囲気である。
ログハウス、芝生のキャンプサイト、屋根付きのバーベキュー施設、キャンプファイヤーをやる場所などがあり、良く管理されていて気持ちがいい。
車で寝る場合の料金が350円というので、その安さにはびっくりした。
僕が申し込んだ時、キャンプ客は誰もいなかったが、後から二人一組の利用者が到着した。
薄暗い中でチラリと見かけたとき、二人は父親と少年のように見えた。
そしてその晩は挨拶をする機会もなく、それぞれの夜を過ごした。

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