55才はサラリーマンの転機。
愛車を駆って一人旅にでた筆者がこの旅で見つけたものは?



Lゴンゴンゴン

4月20日(金) 土佐清水港で一泊。
4月21日(土) 朝一番に岸壁で釣りをした。 地元のおばさんたちは鯵をあげていたが、俺はボーズ。
12時 足摺テルメ(温泉プールなどもあるクアハウス)でのんびりした。
21時 高知に戻り、一泊するつもりでいたが、急遽19時20分発大阪行きフェリーにのる。

フェリーの乗船客は少なかった。
二等船室の隅っこに寝場所を確保した後、ラウンジで少し飲んだ。
そして船室に戻り、寝ころんだ。

ゴンゴンという機関の響きが床から伝わってくる。

休みはまだ残っているが、この旅もそろそろ終わりかなあ・・・。
シニアと称する厄介者の身分であと5年間の会社暮らし。 その後、俺は何をして生きていけばいいのだろうか?
おやじは55,お袋は60,両方とも若死にだったから俺も60ぐらいで死ぬかもしれない。 死にたいとは思わないがそれはそれで結構だ。
だが爺さんのように85まで生きるとするとまだ30年もある。
なんとなく生きるのはいやだなあ。 何か目的というか、気持ちが込められる、やりたいことのある、生活を送りたい。
そう、意図的に生きたい。
でもそんなこと今更望んでも叶うのだろうか。

ゴンゴンゴンとフェリーの機関の音が響く。

だいたい、これまで俺はそんなふうに前向きに生きてきたろうか。
結構好きなこと、やりたいことをやってきたようにも思う。 でも、いかにも半端な、適当な、ほどほどの、挑戦の少ない生き方だったように思う。
会社に入り、化粧品の開発研究一筋に今日まで来た。 そこそこ勉強もし、並な研究成果もあげ、学歴偏重の体制のなかで比較的うまく世渡りし、中間管理職になった。
週末の山歩きにのめり込んでいた時期もあった。
ボートつりに明け暮れる海辺の人になった時期もあった。
サッカー部に所属して40歳まで試合にもでたのだから、貧弱な体のわりには体を動かした方かもしれない。
漫画、油絵、バンド、コントラクトブリッジ、コピーライティングなんかまでも、並以上に、こなし、文化的センスもよい方かもしれない。 だが、どれもいわゆる器用な人のレベル止まりである。
××バカになっていない。
どれであれ、もしバカになって55まで来たのなら、先のことを考える必要はない。 一生バカで通す一本道を行けばよい。 例え、世間に認められるほどのレベルに到達出来なくても、そんなことはどうでも良いことで、毎日が充実したすばらしい人生がおくれるのだ。
「あなたは趣味が広くて老後も困らないでしょうね」とひとは言う。
世の中には趣味なしという人もいるというが、そういう人と自分は大差ないのではないか。 いろいろな趣味の中から、それでも最も自分に才能がありそうで、やっていて最も楽しいものを探し、これからはそれ一筋に残りの人生を賭けることができれば問題はないはずだが・・・。

ゴンゴンゴンと機関の音が響く

思えば今回の旅には、旅という非日常の生活をしながら、そんな方向づけができないかという期待があった。
ところがそれは甘かった。
どこへ行き、何を食おうか、なにか面白いことないかとのみ考えて、うごめく日々を過ごしてきた。
寂しさ有り、不愉快な事有り、でも、それはそれで結構楽しんでいる自分がそこにいた。
趣味を絞って、広く浅くから狭く深くへの転向などという発想は全くなかった。
それどころか初体験のカヌーに、はまりつつあるのだ。 
こうなると自分を見放した方がいいように思われる。
それは世の中には天才もいれば、××バカもいる。 だが全ての人間がそのように生きられる訳ではない。
そういう人を見て、『自分もあんな風だったらなあ』などと考えるのは愚かではないか。 
子供がプロ野球選手を夢見るのは自然な現象である。 夢をもっていて少し才能がある少年が野球部に入るのも自然である。 しかしそれ以降は、一流の選手になるすごいやつや、大してうまくないのに好きで好きで、三度の飯より好きでという野球バカになるやつが残り、その他のほとんどの者は夢から醒めるものだ。
50年以上も生きてきた人間が、自分がどの程度の人間か客観的に見られないとしたら、それこそ純正の馬鹿である。
いまさらどうにもならないなら、どうにかしようなどと考えるべきではない。
このまんま行けばいいのだ。
エエイ!開き直りだ。ヤケクソだ。
まるでイソップ物語の酸っぱいぶどうの狐だ。
それが悪いか。 大きなお世話だ。
よく言えば悟りなのだ。
そうだ! 俺は遊び人なのだ。
創造性豊かな、好奇心旺盛な青年なのだ。   と思うことにしょう。
金も地位も名誉もない三流の自分でも、一己の人間である。
貧弱な能力だが、上も下も見ず、精一杯、今を生きる堂々たる三流になってやるのだ!

ゴンゴンゴンと眠りに落ちた。



4月22日(日) 朝6時半 大阪南港着。
このまま横浜に帰ってしまうのは勿体ない。
帰りがけに蒲郡温泉にでも寄って、さらに静岡に泊まり、古い友達に会って、思い切り飲むことにしよう。

ハイ! おつかれさん・・・。
                    完

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