定年を5年後に控えた55歳の春。
 
  会社の休暇制度を利用して二〇日間の一人旅に出た筆者。
 
  行き先も目的も気の向くままにあてのない旅。 

  旅先で見たもの、感じたものは何か?・・・。



@湖畔の宿

立川涼太、1941年3月25日生まれ、1959年静岡工業高校を卒業し、P化粧品に入社、今日まで化粧品の新製品開発研究の道を歩んできた。そしてこの春、55歳となり、あと5年で会社を去らねばならない時期を迎えたところである。
この会社では55歳になるとシニアという身分になり、役職を解かれ、給料は六掛けに減棒され、いわゆる厄介者の存在となる。
かなり能力が有り、よその会社に招かれたり、あるいは無いくせに短気を起こしたりした奴はこれを機にさっさと退職し、第二の人生の道を歩むことができる。そのほうが退職金などの歩合がよいのだ。

55歳にどうなるのかは初めから分かっているのだから、40歳くらいから準備をしていれば問題は無いのだが、そんな周到な人間なら50歳前に転職するわけで、たいがいの善良な会社員はその時を迎えてうろたえることになる。
アーア、オレの人生も見えてきたなあ。
蓄えなんかないし、雀涙退職金など、あっという間に食いつぶしてしまうだろう。
公務員なら悠々と年金生活ができると聞くが、うらやましがってもしょうがない。

実際、食っていけるのだろうか。病気でもしたらアウトだな。血圧は高めだし、中性脂肪も充分備蓄されているし、肝臓だって力が無くなっているのだから、ヤバイかもしれないな。
まあ、体は騙し騙し使うとして、生き甲斐を何に求めたらよいのだろう。
定年になり、やることがなくなって、ガックリきてオジャンという話はよく聞く話だ。
盆栽、孫の子守、老人会のゲートボール。そんなのイヤイヤッ。
ヤッパ趣味に生きるべきだな。 質素に暮らせば何とか食っていけるであろう。そして有り余る時間を有効に使うのだ。
よく言うよ。 おまえにそんな趣味あったっけ?生き甲斐などという言葉、よく恥ずかしげもなく使うもんだ。
それを言っちゃおしまいだぜ・・・・。

 そうだ、旅に出よう。旅に出て自分を見つめ直そう。それがいい、それがいい。

会社の制度にリターン休暇というものがある。
55歳を迎えた人は、1年以内に、1ケ月間くらいの休みが取れるというものである。
というと、随分恵まれた制度のようだが、会社が休みをくれるわけではない。
自分の有給休暇やこれまでに貯めた休日出勤の代休を使って、1ヶ月くらい休んでも咎めないという制度なのだ。

そうでもしないと、連続した有給休暇をとる人間=勤勉さの欠如、乃至は会社の忠誠心の欠如した人間と思いがちな、哀しく、けなげなサラリーマンが多い。
そのようなみなさんのための暖かく思いやりの制度なのであります。実際、このリターン休暇すら取れなかった先輩も少なくない。

俺はとるぞ!
くやしいけど俺が1ヶ月くらい居なくたって、いやズーット、永遠に居なくたって会社がどうなるものでもない。
しかし、リターン休暇とは言ってくれるものだ。誰がどこへ引き返すというのか。
俺は戻るのではなく、すばらしい未来に向けて出発したいのだ。
せめて、ハーフタイムとかチャレンジ休暇くらいのネーミングにしてほしいと思いますがいかがなものでしょうか。
 
これまでのサラリーマン生活で、10日間の夏休み以上の休みをとったことは無かったように思う。
いや、一度だけ大きく仕事が変わるのをキッカケに、15日位の有給休暇を取った事があった。
その時の一人旅は良かった。俺の人生の歴史年表に太字で載っている事件である。

もう一度言わせてもらう。そうだ旅に出よう。旅に出て自分を見つめ直そう。それがいい。それがいい。



っつう訳で、20日間の休みを取り、行き先と時間を決めない、さすらいの旅にでることとなった。
愛車ホーミーGTクルーーズを駆って、好きなところに行き、好きなところで泊まるつもりである。
車での生活を快適にするためには、二列目、三列目の座席の内、ベッドに使うもの以外を全て取り外した。
(この作業は適当なレンチを買いにいったりもあり、半日仕事になってしまった)
なべ、釜、寝袋などキャンプ道具一式の他に、そんなものを持っていくかという物としては、マウンテンバイクとバンジョウを積み込んだ。
予算は交通費を含め、一日一万円という目標を設定した。

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