認知症の妻が教えてくれること 2009/1/30

130日、旭公会堂でひらかれた、児童文学作家である、藤川幸之助さんの講演をききました。

藤川さんは認知症のお母さんの気持ちを、また介護する旦那さんや藤川さん自身の気持ちを、ありのままに語り、
そしてその気持ちを詩というかたちに濃縮してお話してくれました。

講演中に私は10回以上ハンカチを使いました。

子供たちの名前すら思い出せなくなっていくお母さんが必死に忘れまいとして書き込んだ手帳のこと。 
いろいろなことができなくなっているのに母として藤川さんの好物であるカレーを作ってやろうとする話。 
その話にこめられた、夫や子供に対する優しさや愛の心がしっかりと彼女に残っていること。

くずれていく自分を必死に支えながらも人を支え続ける心。
そういう認知症の本人のやりきれない思いに涙しました。

また心臓病をわずらいながらも必死に介護するお父さんの妻に対する寄り添い方。
対照的に、わけのわからないお母さんの話や下の世話などにがまんしきれず、
責め立てるようなことばをぶつけてしまったという藤川さんの正直な気持ち。 

施設にあずけて帰るとき、なにもわかるはずのないお母さんが藤川さんの手を握り、ずっと後を追って、
重い扉がしまっても立ち尽くしているという、その扉をしめて帰るときの気持ちにも涙しました。

どれも私が味わってきた、または味わっている悲しさでした。
しかし共感の涙は流せても藤川さんの現在の心境には遠く及ばない私です。
お父さんを亡くし、さらに奥さんをも癌で失うという壮絶ともいえる体験を経ながら
お母さんの介護をしながら到達している心境がすばらしいのです。

自分の思いどおりにいかない、自分ではどうしようもないことを、ありもままうけいれられる「心の強さ」を獲得していること。
認知症のお母さんが妻と夫、母と子の絆を結び直してくれたと受け止める心境。
お母さんの認知症のおかげで愛というものがわかり、人は存在するだけで十分価値があるということを悟っているのです。

その後購入した藤川さんの本を読みながら声がでそうになるほど泣いてしまいます。
そして、そんなに泣くのならまあちゃん(妻)にもっとやさしくできるだろうと自分にいいきかせます。

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